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friends are strangers

音楽とベースと酒と所沢

いちえふを読んで思う

 

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)

 

 

前から話題になってた漫画「いちえふ」を読んだ。震災後、筆者が実際に福島第一原発の作業員ハローワークを通して志願し、紆余曲折を経てようやく働き始め、そこでみた福島第一原発の実態、作業員達の日常が赤裸々に書かれた漫画。こう表現するのはどうかと思うけど、素直に「面白かった」と思える一冊だった。なにが面白かったというと、今では世界で最も危険な場所の一つとなってしまった福島第一原発だが、そこで働く人々がとても生き生きと描かれていることだ。福島第一原発と聞くとつい「地獄のような所」で、そこで除染作業をしている人たちは「英雄」のように連想しがちだけど、実際の現場では安全管理のもと作業をしながらも、仲間と笑い合ったり愚痴を言ったり、飯を食ったり、たまにパチンコにいったり酒を飲んだり。当たり前だけど皆がそこで働き生きている姿が書かれていた。非常に危険なのは事実なのだろうけど、福島第一原発で働くということへの見方が少し変わった。

原発について反対だ賛成だと僕は軽々しく言う事が出来ない。僕の親戚にも原発の影響で生まれ育った福島県浪江町を離れることになってしまい、慣れない街で亡くなってしまった人が二人いる。僕が震災が起こる前年の夏に訪れた波江町の請戸漁港では、津波により100名以上の人が亡くなった。きっとあの時、海だ〜とはしゃぐ僕の横で作業していたおばちゃんおじちゃん達の中にも、沢山亡くなった人がいたのだろう。そして僕の義理の父も浪江町出身で、懐かしい故郷の田舎町に自由に帰る事が出来なくなってしまった。そういう人を目の当たりにし僕は原発について語る事は出来ない。間接的に関わっただけなのにそんなことを言っている僕はただ逃げてるだけの弱い奴なんだろう。でもこの「いちえふ」に描かれている地元の方々や、現場で働く人、そしていつか地元に帰って花を植えたいと言っていた僕の義理の父は立場は違えど戦っている。逃げずに真っ正面から。

震災から四年たち、今改めてこの作品を通して福島の現状を知れた。いまも被災地で戦う人たちの姿を作者の目で見た事実に基づき描いた、素晴らしい作品だと思います。