読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

friends are strangers

音楽とベースと酒と所沢

怪談話ウソホント

大学卒業した頃だろうか。ライブの帰り終電を逃して乗り込んだタクシー。無言なのも気まずいので、「やっぱタクシーの運転手してると幽霊とかそういう怖いことにあったりするんですか?」と我ながら若さと酔いにまかせ随分突っ込んだ質問を運転手に投げかけたことがある。

 

タクシー運転手「ふふふ、お客さん、これはね、仲間から聞いた話なんですが、、、ある女性を乗せたらしいんですよ。それで目的地を指定しないでそこ曲がってくれ、そこ進んでくれといちいち言ってくるらしいんですね そしてあるとこまで行ったときに、このまま進むと崖に落ちるということに気づいた私の仲間が『お客さんこれ以上進むと落ちちゃいますよ!』と客席を振り返ると、、、なんとそこには誰もいない。そしてどこからともなく声がしたそうなんですよ、、。落ちれば良かったのに、、。ってね、、。」

 

この野郎、、、よりによってベッタベタの怪談を俺様に話してくるとはいい度胸じゃねえか。

 

僕「ははは、怖いですね〜」

タクシー運転手「でしょお?これは私の仲間から聞いた本当の話なんですよ〜」

おじさん、それは有名な怪談だよ、、。

オカルトマニアの僕が一番許せないもの。それはどっかで見たり聞いたりした話をさも実話のように話してくる輩である。いや、自分から聞いといて何て性格悪いんだと思われるかもしれないが、僕は怪談オカルトマニアである。僕の為にとっておきの怖い話を話してくれた運ちゃんには申し訳ないが、マニアは怪談にうるさく心が狭いのだ。とは言っても怪談というのは作り話がほとんどである。そんなもの聞けば大体わかる。嘘くさい話とか幽霊なんていないとかじゃなくて、怪談にはその時代その時代のトレンドが必ずあって、それに合った話が乱立するからだ。

というわけで、今回は怪談マニアとして、その話が嘘の話の可能性が高い場合のポイントを解説していきたいと思う。

 

  1. 綺麗なオチに気をつけろ。

物語には必ず起承転結がある。怪談も例外ではなくて、心霊スポットor各安アパート等に行く→お化け登場→その場所で昔悲しい事故があった。というような黄金パターンが存在する。実際そんな怖い体験したとしてそこらへんで起きた事故や事件調べるような奴が何人いるだろうか。またその話を根底から覆す大どんでん返しスタイルにも気をつけよう。ユージュアルサスペクツstyleである。物語として聞けば面白いけど、実話と捉えられるかはこの場合かなり微妙である。 -50点

 

 2.流行のお化けスタイルに気をつけろ。

僕が子供のころの怪談といえば、大体血だらけの顔か青白い顔のお化けが定番であった。レッドorブルーである。それが一変したのが映画『リング』。世界中を恐怖のどん底にたたき落とした貞子以降、怪談話に出てくるお化けはほぼ「白い服を着て髪が長く顔が見えないほど前髪も垂らした女」に統一された。江戸時代の頃の古典的な幽霊に近いからイメージの原点回帰という点では興味深いとは思う。そしてしばらくして新たに生まれたのが「顔が青白く、目は空洞のように真っ黒なお化け」である。これはまだ研究不足でモチーフが分からないのだけど、ネットにおけるブラクラなどによく使われる。確かにこれは精神的にクルものがあって結構不気味である。少し前だと「体をマリオネットのようにむちゃくちゃに動かしながら近づくお化け」とか「背が異様に高く首だけ捻り曲がった女」などの『身体不自然系』が多かったと思う。とにかくこういった流行のお化けが出てくる怪談は要注意である。そんなトレンドに乗っただけのお化け野郎はぶっ飛ばせ! -60点

 

 3.何かを知ってる田舎の祖父母、唐突に現れるお坊さん神主に気をつけろ。 

怪談の中盤、怖い目にあった主人公。それを救う存在が登場する。代表例が上の二つ。何かの呪いをといてしまった主人公に「このバカたれが!あそこに行ってしまったんか!」と叱り飛ばし、「あいつに魅入られてしもうたら、しまいじゃ。」とか言いながらもその呪いを解く方法までしっている祖父母。神主かお坊さんが出て来たらもう安心。なぜなら彼らは除霊のスペシャリストだ!「もう安心だ。ただし今晩誰に声をかけられても返事をしてはダメだぞ!」最後は主人公まかせである。 というわけでこんな人たちが出て来たら要注意。おじいちゃんおばあちゃん=何でも知ってるお坊さんや神主=除霊のスペシャリスト、という方程式はいささか乱暴である。これはコトリバコやリョウメンスクナなどの地方伝承物以降、特に増えた定番スタイル。もう古いぞ!  -70点

 

 4.フェイントを使うお化けに気をつけろ。

たまに怪談のなかで登場するのがフェイント使いのお化け。あそこの曲がり角が怪しい、、絶対あやしい、、バッと見てみる。誰もいない。ふう安心。くるっと振り返ると目の前にドーーーーーン!!!こんな感じ。ベジータVS悟空かよ。「な!後ろか!!?」じゃねえよ。これはホラー映画やサスペンス映画でしょっちゅう使われる手法なので気をつけよう。古くはなんだ?サイコか?こんな定番のネタは使い古されている。これは呪いのビデオシリーズでもよく見られる。遠くにいると思ったらいきなり目の前に!系である。お化け界では驚かせ方教室でもあるんだろうか。フェイントはまず一番最初に習うことなんだろうな、きっと。 -40点

 

 

おおまかに書くとこんな感じになる。まだまだ沢山あるんだけど書くのが面倒くさくなってきたのでこれでおしまい。前回のオカルト論で「僕にとってその話が本当の話かどうかは問題じゃない 」とか書いたくせにどういうことやねんと言われるかもしれないが、ウソ臭い話はやっぱつまらんのである。何度も言うが僕はお化け幽霊を信じていないわけじゃない。信じたいと思っているからこそこういう「つまらない嘘怪談」が世に蔓延していることに辟易しているのだ。

怪談は時代と共に進化する。妖怪、都市伝説、ネット怪談、色々あってその時は面白いのだけれど、気づけば飽きられ新しいブームに移り変わる。結局は実話が一番怖いのだけれど、それが本当の話かどうか分からないときだってある。

ある大きな病院に勤める女の子に「病院って怖い話とか幽霊とか、そういうのある?」と聞いた事がある。その子とは怪談話なんてしたことないし、どちらかというとそういう話は大嫌いなタイプの子である。彼女はこう言っていた

 

「ああ〜、そういうのはしょっちゅうあるよ。普通にある。でも一番怖いのは生きてる人間だよ〜。同僚とか上司の女の人とかまじ怖いよ〜、もう仕事行きたくない!」

 

だそうです。